きんいろの ゆびわ

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少女から乙女への階段を上り始めた娘が、子供の頃と変わらず麗一筋で慕っているのを見て、父はもちろん、母も、ひょうたんから出たコマになる? もしかして? と思うこの頃だ。 当の麗はといえば、友人の娘なら自分にとっても娘同然、難しく考えてはいないが、娘の方はまったく気が変わっていない。 今日も、最初はいとこに誘われ、いっしょに見るなら麗と見たいと愛美は言い、どうせ見るなら皆さんそろって、と慎一郎夫妻に誘われて朝っぱらからおじゃましている麗の心境はフクザツだ。 「私といっしょは、いや?」 と、愛美にベソをかかれると拒否できない自分が不思議だからだ。 昔からこの娘には振り回されっぱなしだったな、とグラス越しにかろうじて見える太陽を見ながら、麗は思った。 この場に彼を引っぱりこみ、うるさい父親をシャットアウトできて、娘の方はご満悦だ。 だって、お父さんいるとうるさいんだもん。 グラスで上を見るふりをしながら、ちらりと彼を見上げる愛美は、横顔にみとれる。 やっぱり、かっこいい。見てくれはたしかにおじさんなんだけど、彼に年齢は感じられない。大人の基準を彼に置くと、大方の男性はぼろぼろと落ちて消える。 クォーターだという顔立ちは、掘りが深く、品の良い印象を人に与える。少しばかり日本人より色が薄めの瞳に髪の色。 声はしっとりとして深く、聞いて耳に心地良い。 お父さんはそろそろヤバいのに、中年太りのかけらも見られない身体の線。 日本人離れした長身のおじとひけをとらない背高のっぽさん。 おとうさんだって、ホントは悪くない男なんだよ、かっこいいし、ほがらかで安心できる。大好き。なんだけど。 でも、麗は、特別なの……。
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