軋む先

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 見事に、母親のコピーと言える性格を受け継いでいる。  てっきり母親の傀儡だ。とでも、己の存在意義を見出だして、それが嫌で抵抗しているのだろう……と思ったのだが。  とてもそんな風には見えない。  まだ、闇に呑み込まれるきっかけが無いから、そう思っているのだろうか。  いや、それにしては、随分と自己中心的な性格だ。  正直このような性格で、闇に呑み込まれるような事態に陥った事に興味を惹かれる。  闇が強大だから、なのか。七海という娘に余程衝撃的な出来事が起こったから、なのか。  不謹慎だとも思わずに、おきくは胸を踊らせる思いでいた。  ワクワクする、とはこんなおきくの感情を表すのに、ぴったりだと言える。
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