軋む先

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 現在、実際に牙に気付き、呑み込まれている七海――  ワクワクしたのも束の間。おきくは、気を引き締める。何が、この七海に有ったというのか。  おきくがそんなことを考えている間に、悔しそうな表情の男女が、娘に頭を下げようとするのか、七海を見る。  七海の勝ち誇った表情――  映画館の立ち見で、スクリーン越しに見ている状態。そう表現すれば、おきくの立ち位置が一番解りやすいだろうか。  おきくは、あくまでも観覧者であり、過去の夢にはノータッチだ。  その観覧者のおきくでさえ、部活仲間に対する七海の態度に微かな苛立ちを覚えるのだ。  感情を揺らさないように、常に冷静でいるはずのおきくでさえ、も――  当の部活仲間達が何も感じないはずは、無い。1人の男子生徒が、ぎりりっと歯軋りを立てて七海を見た。  真っ直ぐな視線は、まるで射抜くのではなく。射殺すように。
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