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それから程無くして、お屋敷へ行くと、またあの自分とソックリな黒猫がいたのですが、今日は様子がヘンです。
黒猫が出窓の白猫に向かってジっと眼を瞑り、白猫は何度も何度もナキゴエをあげていました。
猫は心配になって身を潜めて、その様子を見ていましたが、白猫が哀しげに何度もナキゴエをあげるばかりで、その黒猫は微動だにしませんでした。
ーーどのくらいの時間が経ったのでしょう。
白猫が何度も哀しげにナキゴエをあげている中、黒猫がゆっくり眼を開くと低い声で一度だけナキました。
するとピタリと白猫のナキゴエがやんだのです。
黒猫が数秒の間、白猫を見つめたかと思うと背を向けて去っていきました。
白猫はいつまでもいつまでも去っていく黒猫の背を見つめていました。
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