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「はー!?時森さんと付き合うことになった!!?」
「煩いよ、日比谷。そんなに怒鳴らなくても聞こえているって」
時森さんと付き合うことになった次の日の昼休み、僕は一年の時からの友人である日比谷 恭介(ひびや きょうすけ)と昼食を取っていた。
「いやいやいやいや!嘘だろ?相手はあの時森さんだぞ?お前なんかが相手にされる訳ないって」
「まぁ僕も未だになんで相手にされたのか分からないけどさ」
日比谷の言葉にぶすっとしながら購買で買った焼きそばパンにかぶりつく。
ちなみに僕は購買派で日比谷は弁当派だ。
まぁ確かに日比谷の疑問はもっともなのだ。
時森 巡という女性はこの学校……は言い過ぎだが、僕たちの学年ではそこそこの有名人であり、このクラスで言えば間違いなく男子女子問わずNo1の人気の持ち主だろう。
もちろんそんな女性を男性陣が放っておく訳もなく、二年生が始まってまだ一か月も経ってないにも関わらず、彼女が受けた告白はゆうに二桁はいっているらしい。
しかもその中の面子もそうそうたるものだ。
将来東大入りは確実だと目される秀才、片倉。
去年うちの学校を全国区まで押し上げたサッカー部のエース山岡先輩。
はたまたファッション雑誌でモデルをやっていて芸能界入りも夢ではないという隣のクラスの朝比奈まで時森に告白していたらしい。
まぁ、そういう噂を聞いていたからこそ駄目もとで告白出来たっていう面はあるんだけどね。
……まさか本当にオッケーされるとは思わなかったけど。
「……え?もしかしてマジ?」
「だからさっきからそう言っているだろ」
どうやらこの男、僕が今まで妄言を垂れ流していたと思っていたらしい。
確かに立場が逆だったら僕もそう思うだろうけど。
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