初めての彼女

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「いやいや、待てよ俺。冷静に考えてこいつに彼女が出来ることさえありえないのに、ましてやその相手が時森さんなんてそれこそ銀河系の星が一直線に並ぶくらいありえないだろ」 「おい」  未だに現実を受け入れない日比谷に対して僕がそろそろ切れようかなと思ったその時だった。 「あ、友幸君こんなところにいたんだ」  その噂の当の本人である時森さんが教室のドアを開けて入ってきた。 「もー探したよ。お昼はいつもここで食べているの?」  そう言って時森さんがきょろきょろ教室を見まわしながら入ってくる。  突然の事に僕は一瞬思考が止まったが、すぐにはっとして教室の後ろから時森さんの席を取りに行きつつ彼女の問いに答えた。 「ああ、うん。この教室は去年から誰も使ってないみたいでね。冬くらいから日比谷と二人で昼はここで食べることにしているんだ。――はい、これ」 「あっ、ありがとう。へぇ、秘密基地みたいでなんか良いね」  そう言って笑う彼女に心臓がドキリと跳ねる。  やばい、改めて思ったけど時森さんってやっぱり可愛いな。 「と、ところで時森さんはどうしてここに?お昼は確かいつもクラスの女子と食べていたよね?」    と、照れ隠し気味に質問をすると時森さんはニヤリと笑うと言った。 「友幸君に会いに来たの♪」  えっ 「……って言うのは冗談で」  え~~  一瞬高鳴った僕のドキドキを返して貰いたい。  けど、初めて知ったけど時森さんってこんな冗談も言うんだな。 「私が友幸君と付き合ってるのがクラスの皆にばれちゃって、クラスが大騒ぎになっちゃったから逃げてきたんだ」  へー。なるほど、それは大変……。 「え?」
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