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これは困ったことになったぞ。
予想していなかった訳じゃないけど、どうやら予想していたよりもヤバいみたいだ。
……主に僕の命が。
「まあまあ、考えても仕様がないでしょ?折角だからお昼一緒に食べよ?」
「あ、あぁ、うん」
そうかな?授業中はともかく次の休み時間とか僕殺されそうな気がするけど。
かと言って時森さんとお昼を一緒するという魅力的な提案を断る訳もなく、僕は大人しく昼食を再開した。
と思った瞬間、襟を猛烈な力で掴まれた。
そしてそのまま教室の隅まで引きずられていく。
「おい!これは一体どういうことだ!?」
日比谷だ。
今まで一言も喋らなかったので存在を忘れていた。
「あ、なんだお前いたのか」
「いたのかって何だ!いたのかって!」
興奮する日比谷をどうどうと抑える。
どうやら時森さんを前にして緊張していたらしい。
まぁ昨日までの僕なら分からなくもないな。むしろ日比谷と同じ状況になっていた可能性は非常に高い。
「それよりも何で時森さんみたいな人がこんなところにいるんだよ?」
「お前時森さんの話聞いていなかったのか?だから、時森さんの交際が発覚してクラスが騒然となったから避難してきたからで……」
「というのは建前で、本当の本当は友幸君に会いに来たんだ!……なんちゃって」
『わっ!?』
気が付いたらいつの間にか時森さんの顔がすぐ真横にあった。
お、驚いた……。
「もうっ二人とも私を置いて二人でヒソヒソ話なんて酷いじゃない」
「ご、ごめん、時森さん」
「す、すみません」
二人して時森さんに謝る。
と、ふと彼女が言った言葉が頭に引っかかった。
「あれ?時森さんさっき僕に会いに来たのは冗談だって言ってなかった?」
「ん?ふふふ」
時森さんは含み笑いをしたまま人差し指を唇に当てるといたずらっ子の瞳で言い放った。
「どっちが本当だと思う?」
その彼女の言葉に僕の心臓はドキリと鼓動した。
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