星の数ほど出会いがある

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   ●  ●  ●  あたりを見回しましたが、全く見当たりません。どうやら何処かへ行ってしまったようです。  私は軽く溜め息を吐き、右手で持っているリンゴ飴をペロリと舐めました。  うーん。不味いです。甘いことは甘いのですが、その甘さが『人工物』って感じがして、どうも好きになれません。  こんな味なんだったら買わなきゃよかった。後悔が頭の底から湧いてきます。つい先程のこと。店頭に並び、串に刺さった真っ赤かのリンゴ飴に心が揺れ動いて、300円も払って購入してしまいました。  ですが、リンゴ飴は不味いし、購入中に先輩は何処かへ行ってしまうし、もう最悪です。  今日こそ先輩に話しかけよう、と思ってこの夏祭り会場に来たのに、先輩はもう私の視界内にはいないし。  なんで、あの時リンゴ飴を買っちゃたんだろ? 私を誘惑した不味い赤い玉と、その誘惑に負けたついさっきの自分を憎らしく感じます。  まあ、過去のことを気にしても何も始まりません。先輩を見失ってしまいましたし、夏祭りを満喫してから帰るとしましょう。  私はリンゴ飴を片手に歩き始めました。焼きそば、たこ焼き、かき氷……。いくつもの屋台の商品に目を奪われます。ダメだダメだ。食べ過ぎたら太ってしまう。  食べることは大好きですが、女の子ですし体重にも気をつかわなくては。今の少々痩せ体型をキープしたいですし。 「ちょっと、そこのアンタ!」  後方からの誰かの呼び掛けが私の鼓膜を震わしました。可愛らしい声です。アンタとは私のことでしょうか。  足を止め後ろを振り返ると小学生ほどの年齢と思われる少女が仁王立ちで、私を見ていました。  一体何でしょう? 声を掛ける相手を間違えたのかな――という考えが一瞬、頭をよぎりましたが少女の態度から、その相手が私であることは明らかでした。  
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