星の数ほど出会いがある

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   少女はぱっちりとした二重瞼の目で、私の顔を見つめてきます。  どうして、まじまじと私を見てくるのでしょうか。実は眼前の少女は男の子で、私に見惚れてしまったとか。いや、それは無いかな。  というのも、この子の格好はツインテールの髪型に黒色のスカート。しかも、胸元には綺麗な装飾のペンダント。余程の特殊な事情が無い限り、この子の性別は女のはずです。  もう1つの理由としては、私自身、美人の類いに入るような容貌をしていないので、見惚れてしまったという可能性は低いでしょう。  少女の双眸はいまだ此方に向けられたままです。正直な所、あまり良い気分ではありません。  視姦、でしたっけ? 世の中には、他人から強い視線を浴びて悦ぶ変態さんもいらっしゃるらしいですが、少なくとも私はそんな人間ではないです。 「えっと……どうかしたの、お嬢さん? 私に何か用かな?」  何も話さず見つめてくる少女に耐えかねて、此方から話しかけました。  立ち去ってしまっても良かったのですが、呼びかけてきたということは私に何らかの用があるのだろうし。 「…………」  少女は私の問い掛けには一切、反応せず、歩み寄ってきて、私の左手――リンゴ飴を持っている方の手――を両手で掴みました。 「あ! もしかして、リンゴ飴が欲しかったの? 良いよ、あげる。私、実はこれ」  ボンッと。  突然上がった炸裂音と白煙に驚いて、思わず言葉が詰まりました。  それは。  その音は。  私の近距離で、詳しく言えば私の左手から発せられたもので。  更に細かく言えば私の左手とそれを掴んでいる少女の両手から聞こえてきて。  数秒後、白煙が無くなってから、自分の手を見たとき体が硬くなりました。  私の腕の先には、あるはずの物が無くて、あり得ない物が付いていました。  つまり、そこには生まれてから今まで見てきた左手は存在しておらず、粘液が付着している両生類の、すなわちカエルのような手が付いていたのです。  
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