星の数ほど出会いがある

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  「僕は星の子だよ。お兄さんの願いはなんだい?」  俺が冷たがっているのを全く気にせず、目の前の奇怪な少年は言った。  ええい。まったくなんという子供だ。人にかき氷をぶつけておいて、謝罪をするどころか訳がわからないことを言い出すとは。腹の奥底から怒りが沸沸と湧いてくる。 「星の子だの願いだのそんな意味不明なことは知らん! クリーニング代を請求する。貴様の親はどこにいる?」 「お父さんはあれだよ」  そう言って少年は上へ人差し指を向けた。少年が指し示した方向を目で辿ってみると、そこには夜空に輝く1つの星があった。  なんと……。『お父さんは星』ということは、この少年の父親はすでに死んでいて、周りの大人から「君のお父さんは、あの星になったんだよ」と少年は教えられて育ってきた――きっとこの解釈が正しいのだろう。  俺の人間としての良心が悪いことを聞いてしまったという罪悪感で痛む。 「そうか……。すまなかったな」 「え? なんで謝るんだい? それにしても、お父さん昔に比べたら明るさが落ちてきたなあ。もう年なのかな?」 「お父さん生きてるのか!!」  いったいなんなのだ、この少年は。訳が分からない。理解不能である。このような頭のネジが外れているような奴は無視するのが一番だ、ということを俺の人生論が告げていた。  かき氷を股間にぶち当てられた恨みは、心の奥底に封じておこう。クリーニング代は記憶から抹消しておこう。  そんなことを考え、少年の横を通り過ぎようとした――しかし、腕を掴まれる。
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