星の数ほど出会いがある

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  「まあ、僕はお兄さんのリアクションが薄かったことはもう気にしないよ。きっと願いが叶ったときに、裸で狂喜乱舞するお兄さんの姿が見れるからね」 「そんな姿にはならない」  ……駄目だ。いつの間にか、この少年のペースに乗せられている。もう放っておくことにするとしよう。早く華奈子さんを探さねば。 「ではな、少年」  少年に背を向ける。とりあえず、夏祭り会場の西から探すとしよう。歩き続けていたら出会えるはずだ。 「ってまあ僕も付いていくんだけどね」  すぐ右隣りから声が聞こえた。驚いて顔を向けると少年が俺の歩調に合わせて歩いている。思わず溜め息を吐いた。 「……勝手にしろ」  俺がこう答えると少年は顔を歪ませながら笑みを浮かべた。 「そうだよ。それでいいんだよ、お兄さん」  全く。どうしてこんなことになってしまったのだろう。口から二度目の溜め息がこぼれ出る。  俺は夏祭り会場の雑踏へと歩みを進める。チラリと目をやると少年が不気味な笑みを浮かべながら、付いてきていた。  しかし、先程少年に下半身に、いや詳しく言えば股間にかけられたかき氷が冷たく、歩くとズボンが肌に貼り付いて気持ち悪い。加えてシロップの甘い匂い。更には染みになっている。確実に周囲の人々から、お漏らしをしてしまったお兄さんと思われているだろう。  そこでふと疑問が浮かぶ。数秒ほど考えるが全く分からない。 「なあ、少年。どうして俺の股間にかき氷をぶち当てたのだ?」  少年は笑みを浮かべて言った。 「そりゃ勿論。物語の始まりは劇的でないといけないじゃないか、お兄さん」  何だその理由は。本当に、理解不能である。  
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