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「じゃあ、次の時間は剣術だから各自着替えて剣道場に集合するように」
そう言うと眼鏡をかけた法衣を着た男は本を閉じ、部屋の扉を開いて退室していった。
それが合図になるように、椅子に座って真面目に話を聞いていた生徒達は息を力を抜いて息を吐き出しながら椅子の背に体重をかけた。
しばらくすると全員、周りの友人に声を掛けて話し込み始め、今まで教卓の前で話していた男の授業は詰まらなすぎて眠りかけただとか、次の授業は何だったかとか、終わったら近くの森に遊びに行こうなど、他愛の無い話をして時間を潰していた。
そんな中、一人の少年が席を立ち、部屋の扉に歩いて向かっていった。
何人かの視線の端にその姿が映り、気付いた中の一人がその少年に声をかけた。
「おーいレイン、そんなに急がなくても時間までまだかなりあるぜ?」
扉に手をかけてからその声に気付き、レインと呼ばれた少年は一旦動きを止めて、声を掛けてきた同い年の男子に視線を動かして向き直ると「早く行って準備した方が休む時間も話す時間も長く出来て、遅れることも無いよ?」と満面の笑みを作りながら扉を開いて部屋の外へと出て行った。
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