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「なおたちが悪いよ!」
脱力しながらそう言うとレインは溜め息を吐いた。
そんなやり取りをしているとその場に同じクラスの生徒が集まり始めた。
結局、何も出来なかったとそれを見てまた深く溜め息を吐き、カナを恨めしげに見つめた。
「あれ?カナじゃん、いないと思ったらやっぱレイン追いかけたんだ」
「私はカナが出てくところ見てたけど、三階の窓から跳んでったから驚いちゃった」
物心ついた時からレインとカナの二人は既に大の仲良しになっていて、毎日遊んで過ごさないという日はまず無かった。
歳が九つになる頃までは一緒にお風呂に入ったりと双子と形容した方が早いというくらいに仲が良かったが、十一の誕生日を迎える頃には流石に羞恥心をレインが覚えて距離を取り始めたころからカナも自分の気持ちに気付き、それからはレインに正直な自分をさらけ出していった。
年が経つにつれ、カナは十五歳とは思えないほどに綺麗に、心も身体も成長していき力も同年代の男には負けないくらいの剣術の力を着けていった。
一方で、剣術だけは他よりも上達していったがレインはそれ以外には取り分けて何かに優れているという部分はなく、年々激しくなるカナのアタックと比例して自分が不釣り合いになると思い、レインの気は弱くなっていった。
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