†業†

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  ――第5階層、四位の屋敷。 “神族”“次期聖主” “次代の長”でありながら ただ一人の者として、 “天族”である四位に願う ロアの言葉。 それに 「“命”ではなく“願い”ますか?」 自身を真っ直ぐに見詰める ロアの姿を見詰め返し 問い掛ける四位。 「はい、願います。」 ロアは 瞳に宿る強さだけを変えず 目上の者に対する尊意の口調で 「貴方はこの聖界に必要な方。」 真摯に想いを込めて、 「ただひた向きにこの聖界、延いては其処に住まう者達を想う貴方の心を“命”で縛るなど、許されません。」 四位の全てを護る為の 言葉を募る。 「故に私は貴方に願う事しか出来ません。四位殿。」 “裁きを受ける程の決意。” それがどれだけのモノなのか ロアには推察するしかできない。 しかし、 「お願いします!」 想いは伝わると信じ、 願う事だけはできる。 「貴方は計画実行後も“元老院長”“四位”としてそこに居続けて下さったッ!!」 “罪科塔”“隔離の間”で ロアが倒れ、意識を喪う間際に 問いた心の呟き。 それは、 「それはその席が貴方を必要としていたからです!!」 その地位に就ける者が まだ居ないと感じ、 退く事ができなかった四位の 責任と誇りの強さを       確信したモノ。  
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