†業†

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  その心を示し、信じ、 「お願いですッ!!」 伝われと願い、想い、告げる。 しかし、 少しも揺るがない四位の決意に 徐々に ロアの気持ちが追い詰められる。 「四位殿!!」 言葉や声に叫ぶ様な 悲痛な響きが宿り、 そして、 「どうか、この“若輩”な私の“意”聞き入れて下さいッ!!」 その言葉に含まれた一言に、 「次期聖主様、貴方は自らを“若輩”と申されるのですか!?」 四位の心が揺れた。 “若輩” それは様々な経験が浅く 未熟者である事。 己を卑下する為にも 使われる言葉。 ロアはそれを 今の自らを表す為に 敢えて使った。 怒りにも似た感情で ロアを問い詰める四位の言葉に 「“若輩”です。」 はっきりと 自分は“未熟者”だと ロアは告げる。 「たった一人を説得する事も出来ない“未熟者”」 “言葉による説得” それは簡単な事ではない。 「言葉で他の心を変える事が出来る等とは驕っていません。」 それを知り、 己の力量を常に考え、 自身を戒めているロア。 「ですが、言葉で説得する力も無いのなら…ッ。私は貴方の全てを己が責とし背負います。」 そして、 その力が足りないのであれば、 全ては自分の力不足と、 他の責にはせずに己で背負う 強い決意。 “全てを背負う覚悟” ロアもまた 四位と同じ“心”を持っていた。  
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