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―は?―
―と、誰かの呟きが零れた。
何が起きたのか
誰にも理解できない一瞬が流れ
「…なえ…ぎを…たしか…に……御持ち…。」
響く、四位―
―ユセルの最期の言葉。
―次期聖主様は
“セフィロトの苗木”を御持ち。―
“苗木”
その一言を遺して
床に崩れるユセルの体。
途端に広がる鮮血の緋。
その血道が
愕然と立ち尽くすロアの
足許に届く寸前、
「ッ…!!」
息を詰めるロア。
その目の前で
クロアの脚が血道を踏み留め、
「主の御前、穢しました事を御許しください。」
そう、
己のした事ではなく、
己の作った状況にのみ
謝罪し、許しを求めて
クロアはロアの目の前に跪く。
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