†連†

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  クロアが沐浴の場で一人、 “禊”を続けている頃。 ロアも、やはり一人で 自分の寝室に居た。 ロアの寝室の室内は 入り口、正面の壁一面が 大窓の連なりとなっており、 室内を飾る純白の壁紙には 細やかな金と銀の紋様が描かれ、 昼間は金が日の光を 室内に呼び込むモノとして、 夜は銀が月の光を 室内に呼び込むモノとして 使われているだけの 落ち着いた内装となっていた。 目立つ家具はただ一つ。 広く重厚な造りの 天蓋に覆われた大きな寝台。 ただひたすら広いとしか 表現できない空間の室内。 そのほぼ中央に置かれた 大きな寝台があるだけの部屋。 他は何も無く、 強いて挙げるならば、 大窓と寝台の天蓋に 日除けとして使われている 紗の日除け布が揺れるだけ。 そんな殺風景でありながら 不思議な静寂に満ちた寝室の 寝台の中央に部屋の主、 ロアは、 ぽつんと、 両膝を抱え座り込んでいた。  
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