†連†

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  クロアが フィリルの案内を終え、 ロアの様子を窺いに 寝室に行くとそこには 寝台の中央で俯き、 両膝を抱えたままのロアが居た。 クロアが室内に入ってきても 微動だにしないロア。 どちらともなく落ちる沈黙。 先にそれを破ったのは、 「寝ていなくて良いのか?」 ――クロア。 「………………………。」 対するロアは無言のまま、 ふっと顔を上げ、 クロアに視線だけを向ける。 そして、 「クロア、お前、手、見せろ。」 淡々と単語だけで告げる言葉。 「手?」 ロアの突然の言葉の内容に 少しだけ迷いつつも ロアの居る寝台へ近付き、 クロアは両手を差し出す。 ロアの要求に応え、 差し出されたクロアの両手。 ロアの白く繊細な手とは違う、 “剣”を持つ事に馴れた者の手。 それをロアは無言のまま、 じっと見詰め、 不意にクロアに近付き、 その両手を 自分の両手で包み込んだ。  
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