†信†

2/30
346人が本棚に入れています
本棚に追加
/516ページ
  揺れる記憶は        過去の思い出。 二人を繋ぐ、        一つの絆。 それは 四位、ユセルの屋敷から 聖域に戻ったばかりの時に遡る。 禊を終え、 ロアの寝室を尋ねたクロアを 赦さない決意と共に 受け入れたロア。 「…お前の手…冷たい…」 不意に ぽつりとロアが告げた一言。 「禊の後だからな…」 微熱を抱え熱い ロアの掌を感じながら 応えるクロア。 「私は今、微熱がある」 ロアはクロアの掌を 自身の頬へと持って行き 当てながら、 「…故に熱くて眠れない」 眼を閉じ伝える。 「俺で良いのか?」 血の穢れに弱いロア。 幾ら、 長時間、身を浄めても 直ぐには消えない 穢れを負っている為に 気遣うクロアの声。 「馬鹿者!!」 その一言に飛ぶ、ロアの叱責。 「全て、お前だろうが!!」 当然の如く口にする言葉。  
/516ページ

最初のコメントを投稿しよう!