◇サイン

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結局何をしたって賛否両論 否定されるし賛成される 自分のしたいようにすることに 対しては特にその力を発揮 さらに否定される事柄に対しては 焼野原に残った一本の大木のように 見事に強く心に根付く 「ちょっと痛いけど我慢してね」 なんとか目を逸らそうとしても 忘れかけた頃に 「ごめんごめん。戻ってきちゃった。だってここなら目立てるし、居心地いいし?」 と さらにパワーアップして 満面の笑みで帰ってくる 背負い投げでぶっとばして 一喝気持ちよく「ざまあみろ」 と吐き捨てながら 一本とってやりたくても 蟻が像を持ち上げるみたいに 不可能極まりなく 彼が自力で動くのを待つのみ まあそれも 動いたと思ったらフェイントで 舌をペロリと出して 「ただいま☆」 なんて言っちゃうんだ だから僕は手を差し伸べてみた 「うまくいかないと分かっていても、どうやら君とは付き合っていかなきゃいけないらしい」 苦笑い あわよくば一発殴らせろ と 差し伸べた手だが 彼は 「いいよ。一発殴らせてあげる」 そう差し伸べた僕の手を 挑発的に掴むから 甘んじて 思いっきり殴ってやったんだ そしたらなぜか 僕も痛くて なんか胸の真ん中らへんと 呼吸器官が重たくなって なんでだよっっ って叫んだ僕に彼は手を差し伸べこう言ったんだ 「僕は君の一部だから。だって否定されたことから目を背けられないんだろ?それってどこかで僕を理解してるからなんだって、いい加減気付きなよ」 …ああ どうやら本当に 僕はこいつとうまくやっていかなきゃいけないらしい たとえどんなに合わなくても たとえどんなになじりたくっても 僕は僕の心を突き刺す現実を 受け入れて 進まなきゃいけないらしい
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