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男が手を置くと、光り出す石。
「火の精霊、オフィリアの名の元に、我が望み叶えたまえ、」
「ところで、今日はイヤに冷えるな」
「デージ!!」
男が唱えれば、ボッと今まで悪戦苦闘していた暖炉に、火がついた。
その様に、嬉しそうにガッツポーズをする男。
「ジゼル姐貴っ!見てくだせェ!一発で成功しやしたっ!」
「バカ野郎。それくらい誰でも出来るっつーの」
パシン!と、女が男の頭を叩く。いでっ!と鈍い声を出して、男が頭を押さえた。
「と、ところでジゼル姐貴。知ってやすか?」
「何だ」
「魔鉱石には、火・風・土・水と、種類がありやすが・・・・」
そこで言葉を切り、先程受け取った石を翳す男。
「世界の何処かには、『時』の魔鉱石が、あるらしいですぜ」
一体、どんな力があるんですかねと続けた男に、世界の何処かねェ。と女が笑う。
男が翳していた石を奪い取り、ヒュッと投げれば、暖炉の中に入った石が燃え上がる。
「もうすぐ、逢えるかもしれねェぜ?」
「え?」
「今夜は、赤い月が出る」
赤く燃え盛る炎に、ニヤリと卑しく笑う女の顔が映った。
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