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飛び降りようとしている彼以上に、あたふたしている僕に呆れたのか、真っ赤だった彼は、眉ねを寄せた。
「お前・・・・自殺しようとしているヤツが、目の前にいんだぞ?うだうだしてる場合かよ」
「いや、それはそうなんだけど。僕なんかが、頑張って生きようよなんて、言っていいのかなって。だって君は、頑張って生きた結果、死にたいって結論にいきついたんだろうし、それ以前に、僕より頑張ってるんだろうし。それを僕が今更、頑張れだの何だの言っても・・・・」
「うだうだうるせぇーっ!何でなんだよ!何でお前みたいなヤツが死のうと思わなくて、俺が死にたいって思わなくちゃいけないんだよ!」
「・・・・さぁ?」
「~~っ!お前、いい加減にっ!おわっ!」
「っ!危ないっ!」
又憤慨し出した彼が、バランスの悪い場所で地団駄を踏んだ。
その瞬間、彼を襲った強い突風。その風に煽られ、グラリとバランスを崩した彼。
地面に向かって、彼の体が傾く。
っ!ヤバイ!
考えるより早く、体が動いていた。縁から彼の足が離れる前に、腕を掴んで此方側へ引っ張る。
よし、もう大丈夫だ。
このまま引っ張れば、二人とも助かると、緊張感をため息で解き放った。
・・・・その、瞬間。
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