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「うわあぁぁぁぁっ!!」
本当に落ちると、焦ったのだろう。
あれ程死にたがっていた彼は、突然大声で叫びだし、僕の腕を逆にグイっと外側へ引っ張った。
・・・・え?
立ち位置が入れ替わる様に、外へ放り投げ出された僕。う、嘘でしょ?
僕の目に映ったのは、ドサッと屋上の地面に尻餅ついた彼の姿。だけど。
だけど、僕は!
「うえぇぇぇぇっ!?」
ふわりと、体全体を包んだ浮遊感。タンッ!と、屋上のヘリが足の裏から離れる感覚に、絶望した。
落ちていくしかない。そして、死ぬしかない。
最早、僕に残された道は、それだけだ。
物凄いスピードで、重力に従い落ちていく体。
・・・・嫌だ。嫌だ、嫌だ!
痛いのは嫌だ!
『死』への恐怖よりも、『痛み』の方が恐い、情けない僕。襲ってくるであろう衝撃に、遂にギュッと目を閉じた。
『時は、満ちた』
意識を手放すその瞬間、誰かの声が聴こえた気がした。
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