第1章『日常』

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「えー・・・ せっかく、今日は凌空より早起きして変な起こし方してやろうと思って来たのに!」 「そいつは残念だったな」 凌空と呼ばれた少年はニヤリと笑って、胸中で前言撤回する。 変な起こし方をされるくらいなら、これで良かったのだろう。 この少年は山崎凌空(リク)。 学校に通う、ごくごく普通の高校生だ。 目の前の少女は同じ学園に通う少女、加恋(かれん)だ。 いつもは彼が寝坊助な彼女を起こしに行っているのだが、どうやらその仕返し(?)をされるところだったようだ。 まったく、恩を仇で返すとは良く言ったものだ。 この間、起きた瞬間に高級食材である松茸の匂いを嗅がせてやったのに、何て恩知らずな奴だ、と溜め息をつく。
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