第0章

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別に子供である事がおかしいわけではない。 少年兵など珍しくもないし、寧ろ大人より子供の方が兵として訓練し易く、使い勝手のいい面もある点では子供とて立派な戦力だ。 故に、驚くべきは年齢や外見に非ず、もっと他の特異性にあった。 「なんで・・・こいつらは銃が効かないんだ!?」 そう。 その八人は特殊な防護服など何一つ纏ってはいない。 軽装で、布切れ一枚と言っていい、平和な国で当たり前に街中を歩いているような格好で戦場を我が物顔で闊歩しながら、銃弾の雨に晒されて尚、五体満足で健在。 「銃が効かない? 下らねえ事言ってんなよオッサン。 例えばだ、ゲームの話になるが、最初からパラメーター高い奴と、パラメーター低い奴に同じ武器持たせて競わせても両者の差は歴然だろ?」 銃弾の雨の中から、涼しげに歩いてくるのは黒みがかった髪の、おそらく顔つきからしてドイツ系の人種の、歳の頃は17か18といった少年だった。 口の端を吊り上げて、亀裂のような笑みを浮かべたまま銃弾の雨を尚も降らせ続ける男たちに歩み寄っていく。 「いや、これじゃ例えがおかしいか。 ならソーシャルゲームに例えて、Sレアのカードとノーマルのカードを、同じ分だけ強化しても両者に差がついてしまうような・・・要はそういう事なんだよ」 銃弾が脳天を、胸を、腹部を、身体の至る関節に命中しようとまるで怯みもしない。 決して、銃弾の威力が弱いわけではない。 いかに無政府状態の国の兵とはいえ、そういった者達に格安で新型の武器を提供して商品の有用性をアピールし、大国に同じ商品を高額で売りつける戦争商売人というものが居る。 故に、彼等に支給されている武器は決して中古の安物ではなく最新式のものばかりだ。
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