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しかし、恐怖を味わう時間が伸びたという意味では、その者は不幸と断ずる事が出来よう。
瓦礫の山の中、ただ1人ポツンと立ち尽くす兵の1人は、もはや立つ事すらままならないのか座り込んで動かない。
暴風の中心たる少年に視線を向けられてようやく我に返った後も、這うように四つん這いの姿勢で逃げんとするも、既に手遅れであった。
「まったく、何を遊んでいるかと思えばーー」
兵が必死で這ってでも逃げんと少年に背を向けた、その視線の先にはまた別の少年の姿があった。
先の少年と対照的に、銀髪に同様の長髪の少年。
その少年が、何の感慨もなく人差し指を挙げた、ただそれだけで残ったその1人もまた自身に何が起きたのか理解する間もなく絶命し、あとにはおびただしい量の血だまりだけが残されるのみだった。
「ベルナルド、貴方の趣味も趣向も人格も否定する気はありませんが、
任務にそれを持ち出すのはどうかと思いますよ?
弱者をジワジワいたぶって殺すというのは、正直、無駄が多過ぎます。」
「るせーよ。
勘違いしてんじゃねえ。
これはな、弱いもの虐めじゃなく、ハンデくれてやってんだ。
こっちが強い分、先に攻撃する権利をくれてやってんのさ。
寧ろ、弱いもの虐めにならねえようにハンデくれてやってんだぜ?」
「そういう問題じゃないでしょう?
我等の初陣を飾る戦であると同時に、これは”あの方”の初陣でもあるのですから、無駄手間は控えるようにと言っているのです」
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