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○○村。
二人は村につくとまず村長に挨拶をし依頼者の元に向かった。
「しかし…見渡す限り山だな」
「そうですね」
見渡す限りの山、山。
よんで字のごとく山奥にあり普通なら来ないであろう場所に、景色に二人は興味深く見渡した。
「今日は、わざわざお越しいただきありがとうございます」
依頼者…鈴城芳郎(スズキヨシロウ)はやつれた顔つきで頭を下げた。
無理もない。
娘が拐われそれが妖怪の仕業だというのだから。
「いいえ。それより娘さん…芳弥(カグヤ)さんが拐われた時の事を詳しくお聞かせ願いますか?」
「はい……あれは二、三日前の事です―――」
芳郎は当時の事を思い出すべく目を閉じたどたどしく説明し始めた。
◇ ◇ ◇
「お父さん!!早くっ」
「待ってくれ。この坂は…きつい…」
「……歳ね」
「……言い返す気力もない」
山を芳郎と芳弥は登っていた。
どうしても手に入れたい薬草がこの時期にしかなく雪の中二人は山を登っているのだ。
芳弥は首を傾げクスクスと笑う。
日の光を受けた茶髪の髪が頬にかかった。
そして芳弥は芳郎の後ろに回り込み芳郎を押し登るのを手伝った。
本当に、親思いの良い子なのだ。
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