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「ええ。今回の怪異の正体は寂しがりやの猫叉が起こしたもの…ですよね?」
「ああ」
その通りだ。と命は頷いた。
寂しさのあまりに人を拐ったのならはなしは簡単だ。
寂しくならないようにすればいい。
だから命は村にその事を話し猫叉と共存するようにしたのだ。
猫叉は力があるので多少の妖怪ならば退けてくれる。
それに普段は普通の猫サイズなので問題ない。と考えたのだ。
「まぁ猫叉が狂暴な性格なら退治するしかなかったが」
「おとなしい、人懐っこい性格でよかったです」
「ああ……ん」
命の鼻を何かがかすった。
気になり上を見上げると雪が降っていた。
「さっきまでは止んでいたのにな」
朝積もった雪は太陽の熱で溶け水溜まりとなっている。
その上に白い花が降り注ぐ。
「そういえば…竜也と出会った時も雪が降っていたな」
「はい。二週間前の頃に出会ったばかりでございます」
そう。
命と竜也は十二月の雪の降る日に出会った。
そしてそこからまだ二週間しかたっていない。
「そうだな…まったくそんな気はしないが」
肩をすくめ命は漸くついた車に乗った。
命が車に乗ったのを確認し竜也は運転席に乗ると車を発進させた。
景色が流れるように見える。
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