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命はその景色を眺めながら二週間前の…竜也と出会った時の事を思いはぜた。
◆ ◆ ◆
「なんだって?」
突然、手伝いの者に言われた言葉に命は眉をよせた。
「もう一度言ってくれ」
「は…本日、命のボディーガードとして雇った者が来る、とのことです」
今日とは…また急に。
普通は二、三日前に言っておくものだろう。
命は舌打ちしたい衝動を抑え、わかったと頷くと手伝いの者を下がらせた。
「ばぁ様も突然すぎる」
時神家現当主の祖母を脳裏に思い浮かべ舌打ちした。
誰もいないので大丈夫だ。と訳もわからない言い訳をしながら、
そしてしぶしぶ支度をしおそらく広間にいれだろう。と考え広間に向かった。
「本日より命様の護衛をさせていただく渡成竜也と申します」
「時神命だ。よろしく」
とりあえず形式の挨拶をすませ命は竜也の隣にいる祖母の方を見た。
「それで?ばぁ様。こいつが私のボディーガードと?」
「そうだよ。ついさっき挨拶していただろうに」
扇で扇ぎながら命の祖母――時神偲(シノブ)は呆れたように言った。
「そうですが、私にボディーガードはいりません。たとえボディーガードを雇うにしてもこんな優男…ごめんです」
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