『幸せの対価』

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そう…この子は勘違いをしてしまった。 「私は゛何でも叶うネックレス゛とは一言も言ってないわ。 これは人から幸せを奪うネックレス。自分の幸せを願うのは勝手だわ。 ただ…この子は忠告を聞かず、人の不幸を願ってしまった。駄目だって言ったのにね…」 「なーるほど、それでカノジョは゛何でも叶うネックレス゛って勝手に解釈したんだ」 「そういうこと。幸せを願えば叶う、不幸を願えば、死ぬ」 涼しくそう言って、私はネックレスを海に投げた。 それは海に―――落ちずに、砂のようにサラサラと消えていった。 銀の粉が美しく、青空に舞い散った。 「あっあああ!?いいの? あれキチョーなんじゃ」 「アレはサンプルよ。実験用」 「ふーん、好きだねぇ…何人それで死なせちゃったか」 ……そうね。 私は何人巻き込んだか分からない… 「……あの力は強大なの。純粋な心を持つ人間を早く見つけて管理してもらわないと、魔界が危ない」 「あーたしかに。カクジツに戦争起きるねぇ………ところでさ」 ジャキイィィン!! 死神の鎌を高らかに振り上げてニヤリと笑うセイシル。 またか、こいつは。 「本名教えてよぉ、あの子の魂じゃ足りなくてサ」 「ダメよ」 「玲奈ぁーハラペコペコー」 「ダメったらダメよ」 「ケチ玲奈ー!」 ネックレスは魔界にはおいておけない。 魔界にある限り、ネックレスを奪おうと必ず戦争が起こるから。 ―――人間は欲深く醜い。 故にサンプルを手にした誰もが他人の不幸を願い、死んでしまった。 でも、ネックレスを扱える純粋な人間…… 誰にも他言せず、管理してくれる人間。 いつか見つかると、私は信じている。 セイシルにはバレないように、私は微笑んだ。 ------------END-------------
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