『幸せの対価』

9/20
前へ
/21ページ
次へ
「ねーねーじゃあさ、脚細くしてあげよ」 さやかがハサミを取り出すと、数人がぎょっとする。 「ち、ちょっとやりすぎじゃ…」 「いーじゃん杏里とウチがいじめんの、いつものことでしょ」 言い放って、さやかがゆっくりと近づいてきた。 (や、やだ…!) 1歩、また1歩。 そして脚に――― 「…っや!やめてっっ!!」 ガラッと先生が入ってきたのは、私が叫ぶと同時だった。 体がふるえて、動かない… 「おはよーう! ん?お前ら早く席つけー」 「はーい」 さやかは何もなかったフリをして、席についた。 「じゃあ出席をとるぞー。相川ー」 「はい」 「宇野ー」 「はーい」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加