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今日は仕事も休みなんだし、昼間から酒飲んだって別にいいだろう。
しかし出先で時間も早いから一応二杯までで自重する事にしよう。
と、二杯目は煙草吸いつつ大事に飲んでいたら、千がニヤニヤしながら俺に視線を向けていた事に気付いた。
「なんだよ?」
「や、今ふっと、未来のビジョンが見えた感じ」
「は?」
「俺がうちの会社で重役とかになったら、一佐が俺の秘書になってくれると最高」
「秘書って…
美容師になろうとしてる俺じゃ全然畑違いだけど?完全に学歴必要だろ…秘書…」
「一佐なら大丈夫。
取り敢えず日本で美容師資格取っとくだろ?で、ちゃんとスタイリストになってさ。
将来的に、俺は親父達の方に行こうと思うから、そしたらが俺が下積みしてる間に、その頃には嫁に来てくれてるであろう一佐が、あっちの大学で飛び級して学歴ゲットしちゃえば問題ないし。
一佐のスキル活かして、美容関係の事業展開してもいいよな~」
「簡単に言うけど…
ちゃんとしたスタイリストになるのはかなりの経験が必要だし、いくら飛び級制度が有る海外の大学行ったって、そう簡単に飛び級出来る訳じゃないんだぞ?」
多々良とか伊代とか、飛び級組は身近に居なくないけど、それは二人共相当優秀だからこそ。
「一佐なら飛び級余裕だと思うけどな~
美容師の実績的な事を言えば、スキルが足りなけりゃ、ヒロさん引っ張ってって、一佐が日本で勉強してきた事活かせる場が出来ればいいし。
兎に角、一佐が嫁に来てくれて、俺の秘書になってくれて、ずーっと一緒に居てくれたら最高!
っていう未来予想図」
「…まぁ…悪くは無いな」
確かに、千が大学卒業して海外に移住するのなら…
母さんという心配事が片付けば、俺も千にくっ付いて行きたいと思う。
夢物語ながら“千の秘書”って立ち位置も、多分楽しいと思う。
でもそれ…
日本に居る間に、俺は膨大な努力が必要だな。
特に美容師としての技術面で。
一度始めたモノを、中途半端なまま海外に行ってしまうのは、ちょっと自分に納得出来ない。
ヒロさんや先生レベルまではいかなくとも、ちゃんとスタイリストとして、お客さん任せてもらうくらいにならなきゃ…
…うん。
千の夢物語を現実にさせる為には、俺が頑張ればいいんだ。
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