36/38
前へ
/263ページ
次へ
昨日の千の夢物語を真に受けてる訳じゃないけど、今日はなんだかいつもよりやる気が出る。 俺の困った所は、それが態度に出てしまうという事だろう。 「今日随分張り切ってたな?」 と、営業後の練習前にとった休憩中に、ヒロさんから言われてしまった。 「え?そう見えましたか?」 「見えた見えた。なんかいい事あった?」 「いえ、そういう訳じゃないんですが…いつも以上に仕事頑張ろうと思って」 「おお、それはいい事だ」 帰宅前に同じく休憩室で一服していた先生も会話に混ざり、なんとも愉快そうに笑った。 この性格はどうにかしなきゃいけないな…って、指摘される度に思うけど、普段意識してなくて出てしまうものだから、どうしたらいいのやら… まぁ、プラスに転ぶ事なら問題無いんだけどな。 束の間の休憩の後、いつも通り俺は練習の準備を始める。 まだ店に残る俺やヒロさんと一緒に一服している、先生、奈緒さん、みなとさんは、いつもならこの辺りで帰る筈なんだけど… 今日は何故か帰らず、みんなフロアに出て来て先生は雑誌読んでるし、みなとさんと奈緒さんは客用のカット台に座って雑談してるし… …あれ?今日何か有るのか? 終わったらみんなで飲みに行く予定になってるとか… でも、宏子さんとユウさんは普通に帰ったな? なんだかよく分からないまま、取り敢えず俺はいつも通り練習を開始。 そこから約10分後 閉店の為締められていたブラインドを退かして、若い男性が一人店内へ入って来た。 …あっ!? 「こんばんはー」 「来た!ライトくん!」 「ああ、いらっしゃい」 「ワァオ、皆さんお揃いで…」 「グレンジャー先生!」 ちょっとビックリして、練習中だというのに俺も来客者へ声を掛けてしまった。 黒髪碧眼の来客者が気付いて此方へ視線を向ける。 彼は俺を見て一瞬で何故か嫌そうな顔をした。 「ぅわー…ヤバッ…」 「グレンジャー先生?何か…」 「ぉわぁっとっ!その呼び方はよく無いよ!」 「え?」
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1162人が本棚に入れています
本棚に追加