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まず、始まりは本当に普通の日常的な話ですよね。この事は後にも何度か取り上げるかもしれませんが、この作品の魅力の一つには、この「日常」というのがとても大きな役割を担っていると思うんです。何しろ、物語に入りやすい。見た時から私たちはイヤホンをつけて携帯をいじっている主人公、伊藤誠を等身大の人物として捉えることができます。そして、その戸惑いがちな視線をチラチラと送っている先にいるのが桂言葉。まあ、この辺は大方この二人を巡るラブストーリーかな、などとこの先の展開を予想することができます。ただ、学校に行くとトラブルが起きる。そうです。西園寺世界が登場するんですね。誠は彼女に淡い恋心を見破られてしまいますが、この世界、なかなかのお世話焼きで、思わぬ形で憧れの言葉と、接近することができます。この時点で、誠と言葉というのは、個性があまりないと言いますか、いまいち人物像が現れてきていません。その点世界はその言動や行動、あと、声優さんの力量で何となく「何処にでもいるような、ちょっと元気が良すぎる明るい女子」という人物の輪郭を見ることができます。そして、これは結論的な部分も含めてのことなのですが、この作品、単刀直入に言いますと、西園寺世界という人物が、全てのカギを握っています。すなわち、彼女について注意深く見て、考察すると、この物語の核心に迫ることができます。もちろん誠や言葉、その他のキャラクターも不可欠ですが、やはり、どれも彼女の一挙一動にまで引き立てていくためのものという要素がとても強いと思います。
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