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さて、アニメを見る限りでは、世界が行った、いわゆる「悪事」と言われるようなことは主にこの三点だと思います。後半の二点は物語の後半で考察するので今は置いておきますが、何と言っても重要なのは一つ目です。このことが、アニメの衝撃的な結末へ向かう全ての遠因であります。ただ、世界という人物、アニメのストーリーを見ていく上でどうしても外せないのが、「世界のあまりにも矛盾している行動」についてです。この行動については、第一話の段階でその片鱗を見ることができます。
話を前に戻しますが、屋上での誠の疑問です。結果論から見ますと、世界は言葉から誠を略奪したわけですが、
「自分も誠が好きなら、なんでわざわざ自分の想いの障害になるようなことをするのか」というのがとても大きな謎です。この時点で、間違いなく世界は誠に想いを寄せています。このことは、世界自身がそう告白している場面があります。それを踏まえますと、誠に対する過剰とも取れる手助けは、誠への想いが行動となって出てしまったもの、という風に受け取ることができます。内容はどうあれ、その人と仲良くなって話をしたい、その人に認めてもらいたい、という人間誰しも持ちそうな願望ですね。ただ、それが世界の場合最も皮肉な形で返ってくるわけですが。この一連の行動を世界の策略だという風に受け取る方もいるようですが、さすがにそこまではないと思います。世界の行動を見るに、良くも悪くも、そこまでの深慮遠謀をめぐらすことは不可能のように思えます。それに、製作者側も、策略にまつわるような描写は意図していないと思われます。ですから、ここで
「誠と言葉が上手くいかなくなるのを見越して布石を打っていた」
というのは飛躍しすぎだと思うのです。
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