0人が本棚に入れています
本棚に追加
風が吹き荒れ、大粒の雨が容赦無く降り注いでいる。
時折、雷が轟音を響かせ空を一瞬だけ眩しく照らす。
そんな悪天候の中、険しい山道を進む人影が多く見つける。
真っ黒な雨具を身に纏い、馬車の周りを歩く十人程の男達。
馬車の荷台には汚れた白い衣装を着る女子供、武装する男が五人乗っている。
馬二頭で引かれる馬車。
その進む道の先に一つの街が見えて来た。
「こんな魔晶石が手に入るなんてラッキーだな」
武装する一人の男の手にはソフトボール位の淡い緑色の石が握られている。
周りの男達もその様子に頬を緩ませ、その石はスーパー袋程の布袋にギッシリと入っていた。
そして荷台の奥の方に横たわる一人の少年が周りの女性に介抱されている。
その姿は紛れも無く昶だ。
意識は無く、腹部には包帯か巻きつけてあり、顔にはあまり生気を感じられない。
「まさに天からの贈り物!その餓鬼には感謝だな」
最初のコメントを投稿しよう!