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約数時間前の出来事。
この馬車が街から出て山道を進んでいる時。
真っ黒な雲の隙間から眩い光が地面に降り注ぐ。
光の先にはうつ伏せで倒れ込む昶が姿を現し、その周囲には淡い緑色の石が散らばっていた。
そしてその場に居合わせたこの馬車に拾われ、今現在に至ると言う訳だ。
馬車が山道を抜け、街の入口で停車していた。
馬車を綱を握る男が門番に一枚の紙を差し出すと、再び馬車は動き出し街中を進んで行く。
この天候の為か人の気配は全く無い。
馬車が着いた先は街の中心、一際目立つ大きな石で出来た建物だ。
「おら、降りろ!」
荒い口調で男達が指示を出すと、荷台に乗っていた女子供達が次々と建物の中に入って行く。
横になっていた昶は武装する男に抱えられ、意識無いまま運ばれる。
建物の中に入ると、女子供はそのまま奥の部屋に、馬車の外を歩いていた男達と昶は地下に誘導される。
地下は湿気が多く肌寒い。
あまり居心地が良いとは言えない程に荒んでいる。
ここは地下の牢獄。
男達はこの地下で寝泊まりさせられている。
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