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「今日って帰るの遅くなる?部活あるんでしょ?」
友紀の質問に黙って頷くと静かに食事を進めている。
二人の両親は五年前に交通事故で亡くなり、それ以来この家に二人で過ごしている。
食事を終えると後片付けをし二人は玄関へと歩みを進める。
外は晴天。
太陽の日差しが暖かく、時折吹く風は涼しげで心地が良い。
学校へは徒歩で十分程で到着する。
道中、二人と同じ制服を来た者達を多く見かけ、よくある登校風景を感じさせる。
学校が近づくと友紀はクラスメイトと合流し、昶は一人学校の校門を通り過ぎて行く。
下駄箱を過ぎ、一階にある"1-3"と言う教室が昶の指定された教室になる。
「オッス、あき」
「おはよう、昶君」
男女問わず様々なクラスメイトと挨拶を交わし、窓際、縦に六列ある席の前から四番目。
ここが昶の机。
荷物は机の左側に立て掛け、昶は朝礼が始まるのを窓の外を眺めながら待っている。
すると昶の前の席に一人の女子生徒が腰を下ろす。
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