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街中のスーパーマーケット前。
店内から出てきた昶の右手には白いスーパー袋が握られ、中には晩御飯の材料と思われる食材がいくつか入っている。
用事を済ませると昶は時間を携帯電話で確認し、自宅へ向かって歩き始める。
十分程歩くと日は完全に落ち、辺りは暗く、電灯に明かりが灯される。
すると道中、車道を挟んだ反対側に数台のパトカーが停車し、多くの人集りが出来ていた。
「また例の通り魔らしいわよ。今度は高校生だって、可哀想に」
三十代半ばの主婦が口を開き、その周りに立つ主婦達も話に賛同している。
通り魔事件とは最近この街で起きている殺人事件の事だ。
既に五人の犠牲者を出し、未だに犯人の手掛かりとなる証拠は何一つ見つかってない状況。
そして今が六人目の犠牲者。
どの被害者も鋭利な刃物で胸部を一突きされている。
金品が盗まれている訳では無く、被害者の接点もない。
しばらくすると昶は再び歩き出し、間も無く自宅へと到着した。
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