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ピピピピッ! ピピピピッ!
目覚ましが鳴る。
俺は、痛む体を無理矢理に起こす。
身体中に刻まれた傷跡は、奴のハーレムの一人によるものだ。
そいつは、事有るごとに、自分が雇ったヤクザを使って、俺を奴から離れさせようとする。
……離れられるものなら、俺だって離れたい。だが、奴は俺を『親友』だと――奴にしてみれば、『人類は皆親友』だまったくおめでたい奴である――思い込んでいる。
奴の方から、付きまとって来るのだ。逃れようがない。
ピンポーン
呼び鈴が鳴った。奴が来たのだ。今すぐにでも、包丁で刺し殺したい衝動をどうにか押さえる。
今はまだ、そのときではない。奴の全てを破壊しつくし、絶望を味あわせてから殺すのだ。そう、誓った。奴のせいで、両親が死んだその日から。奴に人生を狂わされたその日から。
奴の名前は、神代 正人。大企業『神代工業』の御曹司にして、憎むべき親の敵。
俺の、敵だ。
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