~第八章~

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「ねえ……タクト?」 小さく消え入りそうな声で、若干顔色が良くないハヤトが口を開いた。 「ホントにあそこを通らなきゃダメ?」 「…………」 ……そう言われましても。 ハヤトの言う〝あそこ〟。 それは、現在目の前でその口を広げている森だった。 先ほどまでタログナに滞在していたのだが、料理を食べ終わると同時にコイツは言った。 『じゃ、熊さんに見つかる前に行きますか』と。 是が非でも、といった感じの雰囲気に為す術もなく町を出て、薄暗い森の前。 ……ごねてます。 「この森を通らないと次の町には行けないぞ?」 「……うぅ」 早くしないと日が暮れそうだ。
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