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「ねえ……タクト?」
小さく消え入りそうな声で、若干顔色が良くないハヤトが口を開いた。
「ホントにあそこを通らなきゃダメ?」
「…………」
……そう言われましても。
ハヤトの言う〝あそこ〟。
それは、現在目の前でその口を広げている森だった。
先ほどまでタログナに滞在していたのだが、料理を食べ終わると同時にコイツは言った。
『じゃ、熊さんに見つかる前に行きますか』と。
是が非でも、といった感じの雰囲気に為す術もなく町を出て、薄暗い森の前。
……ごねてます。
「この森を通らないと次の町には行けないぞ?」
「……うぅ」
早くしないと日が暮れそうだ。
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