第三節 未来を視る少女

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 ナスターシアの告白に、黙って耳を傾けていたクロウに、逆に問いかける。 「クロウはどうして? なぜゼイン王と共に戦うことにしたの?」 「なりゆきだな」 「なりゆき?」 「まぁ、強いて言えば――あいつの作る未来が見たかっただけだ」  何でもないことのように付け加えられた一言に、ナスターシアは目を見張った。  包帯を巻き終え、立ちあがろうとしたクロウの腕を、思わず掴んで引きとめる。 「どうした――」 「私も!」 「はぁ?」  心臓が高鳴り、ナスターシアは顔が火照るのを感じた。  クロウの腕を掴んだまま、抱きつきたくなるような衝動を抑え、目を輝かせる。 「私も、ゼイン王が作る未来を見てみたいの!」  同じ志を持つ盟友に出会えた気になり、一気に目の前の青年に親近感が沸いた。  ただ同志というだけではない。  彼は〈時読みの賢者〉だ。  自分と同じように感じ、同じ気持ちを抱き、王を導いた者がいる。  その事実が嬉しかった。
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