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「――あいつも随分と懐かれたもんだな」
興奮気味のナスターシアに対し、大人びた――実際の年齢は十分大人なのだが――微笑を浮かべたクロウが、掴まれた腕を解く。
「ほら、手を貸せ」
「手?」
代わりに取られた右手を開くと、白い掌に痛々しい擦り傷が広がっていた。
そういえば、先ほどからじんじんと痛んでいたような気がする。
「気付かなかったのか? 痛むだろ」
「今……すごく痛いわ……」
「ぷっ……鈍いやつ」
それ以外のことに意識が集中し過ぎていたらしい。
ナスターシアの呆けた返答に、クロウが吹き出した。
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