第二節 時読みの賢者

4/6
前へ
/54ページ
次へ
「会わなければいけない人がいるの」  男の言う通り、〈翡翠の巫女〉であるナスターシアには未来予知の力がある。  その特殊な力故、サウレ・マーラ教団はナスターシアを軟禁に近い形で厳重に保護し、教団の権威を高める道具として使ってきた。 〈祈りの塔〉に住む時を知る巫女の話は、今やパン屋の子供でも知ってる。  だがそんなナスターシアが、〈塔〉の監視をかいくぐり、外の世界へと逃げてきたのには理由がある。 「誰に」 「我らが王――アウセクリス帝国のゼイン国王に」
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加