0円

6/12
前へ
/25ページ
次へ
私はその人を横目で見た。 知らない顔だ。 その人も私を見る。 何故、雨が結構降っているのに平然と歩いているのか、気になるのだろうか。 私は目をそらした。 その時だった。 「森久保さんも、雨宿りしていけば?」 その人に話しかけられたのだ。 私は目を丸くした。 私の名前を知っているということは私の学年なのだろうか。 「いや、いいです。」 私はその人の誘いを断ってそそくさと足を進めた。 関わりたくない。 八百屋からだいぶ離れた時、振り返ってみると、さっきの学生はまだ私の方を見ていた。 誰だろう。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加