4人が本棚に入れています
本棚に追加
ついにドアがギイィという音と共に開かれ、足音の本人が部屋に入ってくるのを感じる。
震え上がる体に頭を深く割り込め耳を塞ぎ、自分の世界に入ろうとした。
沢山だ・・・、もうこんな思い沢山だ・・・!。
足音の本人は小屋の前まで来た。
慣れない手つきで小屋の南京錠の鍵を差し込み解錠を済ます。
「よし、開いたぞ・・・。」
嬉しさの混じった優しい小声が耳に入る。
しかし頭が恐怖で支配されているデルビルにはその声は分からなかった。
そんなデルビルの震えて丸くなった体にそっと伝わる温かなモノが触れる。
怯えたが声が漏れだし、今にも暴れ出しそうな彼にそっと声を掛ける。
「大丈夫さ、僕は君を助けに来ただけだけだよ。」
心の奥底まで浸透する優しく温かな声だった。
しかし真っ暗でその声の主の判別はつかない。
声の主はそのまま温かく伝わってくる感触のモノをデルビルに包み込むように手繰り寄せた。
この行為に対して抵抗し逃れようと思った。だが実行に移すことはできなかった。
デルビルは今までに感じたことの無い不思議な感覚に囚われた。
自然に緊張のほぐれと恐怖が抜けていくこの感覚、
包まれいるこの温かなぬくもりにいると眠たくなってくるこの感覚、
何故だがずっと包まれたいと思った。
デルビルは生まれて初めて安心感というものを覚えたのだった。
「安心して、僕は君の味方だよ!さあ、早くここから出よう!」
安心しきったデルビルを抱きかかえ声の主は立ち上がり、
そのままこの部屋を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!