プロローグ

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長い廊下へと出た。 そこは廊下の長さに合わせた真紅の絨毯が敷かれ、 天井には一定の感覚でシャンデリアが吊るされている。 壁には蔓(ツル)のような模様な描かれ、今ではもう使われていない燭台がある。 ここは基本的に警備員が見回る場所の1つなのだが、 祝日の前夜の時だけ警備員はいつもの時間より早く撤収している。 無論、ここの廊下以外にもほとんどの場所が撤収している。 そこへ付け込みこの日の時間はすでに警備員はいない。 おかげでデルビルを抱えたままでも難なく館内を移動することができたのだった。 仲間が助けてくれたんだ・・・ やっとここから出られるのかな・・・ デルビルは抱きかかえられた中、そう呟いていた。 彼の仲間とはこの館の中で悲劇を共に過ごしたポケモン達のことだった。 デルビルだけではなくまだ数匹のポケモン達がここでの生活を強いられている。 そこで長い年月かけ、人間達の目を盗みこの場所からの脱出を決めたのだろう。 デルビルはここまで考えをまとめた。 もう安心だ、もう何も怖くないんだ。 一体僕を運んでくれてるは誰なんだろう・・・ リュンかな・・・それともケニー・・・? リュンとケニーはデルビルの最も親しかった友だ。 リュンはマイナンというポケモンであり、体長はデルビルよりも小さく、見た目は少し黄色味のかかった白い体毛であり、 両手と尻尾と両耳の部分は青いのが特徴。体格が若干ピカチュウと似通ったところがある。 そしてこのリュンというマイナンはデルビルと同じくこの館での生活を強いられていたポケモンの1匹であった。 性格はとても優しくてそして誰よりも前向きな心を持っていたこの館のポケモン達のリーダー的な存在だった。 自分も特訓で傷ついているはずなのに辛いときはいつでも励ましてくれ、皆の希望と言っても良かった。 脱出を提案したのならリュンに違いないだろう。 一方のケニーはモウカザルというポケモンだ。橙色の身体に体付きは少しだけ人間と似てるが、 あきらかに色々と違いがあった。上手く説明できないが、ケニーには尻尾があり顔付きが全く人間とは違い、 とにかく一緒のポケモンには間違いないはずだ。 ケニーは他の仲間達に比べ、気が弱く、臆病な性格をしていた。 人間を誰よりも畏怖しているのは恐らくこのケニーだろう。
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