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足音が遠く過ぎ去るのを見計らってデルビルを抱え込んだポケモンはハァーと大きな一息をつく。
「・・・あとは玄関に直行するだけだね!」
抱え込む彼(カ)のポケモンは一息のあとに小声で満々と言い放った。
デルビルの心境も彼のポケモンと共鳴する。
早くここから脱出して平和に暮らすんだ!
彼のポケモンは忍び足で玄関の扉へ近づいていく。
警備員にも悟られぬよう照らされた月明かりを避けていき、遠回りで玄関の扉に行き着く。
彼のポケモンはよし!という小声のあとに、抱いた右手をほどき自身の体をごそごぞとまさぐった。
すると手には鍵が握られており、デルビルもこの鍵が目の前の扉の鍵であるということを把握した。
彼のポケモンは真っ暗な玄関の中で手探りで扉の鍵穴を探していく。
間もなく彼のポケモンは指先に小さな穴らしき手応えを感じ、鍵穴を見つけた。
そこへ鍵を差し込もうとしたそのときだった――。
キィィーンッ!
彼のポケモンの手元が狂い鍵を落としてしまった。
その鍵を落とした音は玄関ホール中に鳴り響く。
「今の音はなんだ!」
階段の脇下にいた時の低い声が聞こえた。
「いや、俺じゃないぞ!」
「僕も違います!」
他にも聞いたことない声が返事をした。
デルビルと彼のポケモンは胸が引き裂かれそうな鼓動に襲われる。
「大変だ・・・!早くしなくちゃ・・・!!」
彼のポケモンは落とした鍵を急いで探し始めた。
「物音はきっと1階の方からだぞ!皆、調べるんだ!」
低い声の警備員は張り上げた声で二人の部下を仕切る。
「あった!鍵だ!」
彼のポケモンは鍵を拾い上げ、焦る手つきで鍵穴に鍵を差し込んだ。
扉はカチャッという解錠を合図する音出し、彼のポケモンはデルビルをしっかり抱き上げる。
そのまま扉に体を押し当てた状態で扉を豪快に開け放ち、思いっきり外へと身を投げ出した。
警備員もその一瞬の後ろ姿を明かりで捉えた。
「見つけました!きっとあいつらに違いない!」
部下の警備員の一人が声を張り上げて言った。
「よし!3人で追うぞ!!」
警備員らはそのまま玄関の扉を後にして彼のポケモンとデルビルを追った。
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