プロローグ

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一方、きつく抱きかかえられたデルビルは視界がよく掴めない。 しかし、外の空気に触れていることが分かり、館の外に出ているという事は理解できた。 彼のポケモンからは上下に激しく振動が伝わり、息を荒らげている。 この館からの脱出を試み、全力で疾走しているのも分かった。 デルビルは胸の中で自分の無力さを悟った。 こんなに僕の為に頑張ってくれてるのに・・・ 僕は何もできはしないのか・・・ 後ろの方では警備員達が声を上げながら追いかけてくるのが聞こえてくる。 それにだんだんとその声が近づいてくる、追い上げられているのだ。 デルビルはもう駄目なのだろうと思ったとき彼のポケモンは息を荒らげなら呟く。 「絶対に助け出してやるから!心配しないで!」 この状況の中でも彼のポケモンは弱気のデルビルを励まそうとしていた。 その彼のポケモンの励ましを聞いたデルビルは今の弱気な気持ちを振り払った。 そうだ、こんな時だからこそ前向きにならなくちゃいけない。 僕は何もできない訳じゃない!今できる出来ることを見つけていかなきゃ! デルビルが気持ちを切り替えていた間、彼のポケモンは走るにつれて 徐々に速度が落ちていた、体力が尽きかけているのだ。 「くそ、せっかくここまで来たのに・・・!」 疲れ果てた声で悲嘆する。 しかし警備員達は悔しむ暇を与えず、着実に距離を縮めていた。 それを胸の中で見上げているデルビルはついに決心した。 彼のポケモンの包む腕を無理に振り払い、草はらに着地したのだ。 この予想外の出来事に驚いた彼のポケモンはデルビルを再び抱き上げようとした。 だが、デルビルは嫌がる素振りを見せ、避けようとする。 そのまま警備員達の追ってくる方面へと体を向けた。 彼のポケモンはその意図が分かり必死な声でデルビルに投げ掛ける。 「無茶だよ!早く逃げなきゃ!」 しかしその声はデルビルには届かなかった。
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