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デルビルは向こうから追ってくる警備員と対峙したまま動こうとしない。
僕だって少しは頑張らなきゃだめだ!
「よしお前ら!周りを囲んで奴を捕えるぞ!」
近くまで迫ってきた警備員達はその一人の掛け声を合図に
彼のポケモンとデルビルの周りに散開しようとする。
デルビルも警備員の掛け声を聞いたところで、体全体に力を巡らせ、外の空気を限界まで吸収する。
そして警備員達が散り散りになるところで、デルビルは渾身の力を振り絞り、
小さな体長からは考えられない程の灼熱の巨大な炎を口からがむしゃらに至る方向へと撒き散らした。
その瞬間、月明かりだけの薄暗い館の庭園は赤い炎の明かりで眩しいほどに照らされる。
警備員達は突然の自体に理解ができず地面につまずきながら慌てて後ずさっていく。
「うわあ!!何だ!何が起きたんだ!」
「火・・・火です・・・!!ま、まずは早く火を消さないと!」
「慌てるな!どうせただのポケモンの技だ!!退くんじゃないぞ!」
混乱が響めく(ドヨメク)中で彼のポケモンはいち早くデルビルの元へ行き、抱き上げて再び走り出す。
「凄いじゃん!あんなに凄い技できたんだ!!ちょっと僕も当たりそうになったけどね」
笑顔で話す彼のポケモンにデルビルも息切れしながら笑みだけで返事を返した。
彼のポケモンも疲れがすっ飛んだように軽快な走りを吹き返す。
そして少し庭を走り続けると小さな門をくぐり抜けた。
「よし!この裏口を出ればすぐ近くの森だ!」
このときデルビルは後ろを見たが、警備員達が追ってくる気配は無く、
遠くに自分吹いた炎で燃えた草はらが見えるだけだった。
それからも彼のポケモンはデルビルを抱き抱えたまま走り続け、
目的地である森の入り口へと辿り着いたのだった。
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